犬の出産は「安産の象徴」とされているように、通常は人間の手を必要とせず、犬が本能によってすべて行い比較的安産ですが、いつもそうとは限りません。問題が起こったときにいかに冷静に対応できるか、そこが問題です。「普通ではないな」ケースについて紹介します。
強い陣痛きているのにうまれてこないというのは、何か問題が起こっている可能性が高いです。私の場合、第1子を無事に出産した後、第2子が何かに引っかかっているようでなかなか出てこないケースがありました。
よく見ると母犬のいきみに合わせて陰部から頭部が見えたり隠れてしまったりしていたので、ガーゼをもち、胎児の頭部が出て来る時に引っかかっている緑色のものを少しづつ引っ張りそれを出しました。
第1子が娩出された時に胎盤がついていなかったのでもしやと思ったら、やはりその胎盤がひっかかってしまっていたらしく、それがなくなったらスルッと、無事第2子が娩出されました。
胎盤は胎児1頭につき必ず1個あります。胎児の数と同数娩出されたかどうか確認する必要があります。最後の胎児の胎盤であれば残ってしまってもほとんどの場合は尿と一緒に少しづつ排出されますが、たまに子宮内で細菌感染を起こす場合もあるので注意が必要です。
また、胎児の体勢によってうまく娩出されない場合もあります。陰部の近くまで降りてきているようであれば、手を消毒し、陰部から指を入れ体勢を整え、母犬のいきみに合わせて少しづつ引き出します。
これらは私たちが介助できる状態ですが、強い陣痛が2時間続いても胎児が娩出されない場合、もしくは、先に胎盤だけ出てしまいしばらく胎児が娩出されない場合には獣医師による処置が必要となります。
胎児と胎盤をつなげているヘソの尾。母犬は自分で適当な場所で噛み切りますが上手く切れないことも多く、また、あまり母犬が引っ張ると臍ヘルニアになってしまうこともあるのできれいに処理してあげましょう。
このヘソの尾の処理は、繋がっていたものを切断するということと、血管が通っているので止血すると言う意味があります。ですから、まず胎児のヘソから2cmくらいのところを止血するために消毒した糸できつく結びます。その後、結び目から胎児とは逆に1cmくらいのところを切ります。
止血がうまくいっていないと出血がしばらく続き、そこから細菌感染することもあるので、なるべく早めに処理をした方が安心です。
せっかく産まれてきたのに呼吸をしていない場合、まず体、顔の周りに残っている膜を取り除き、鼻や口の中に残っている水分をとるためしっかりタオルつつんで数回振り下ろします。その刺激で呼吸をはじめることもあります。
それでも呼吸をしない場合は体中をすこしきつめにこすります。また心臓マッサージや、人工呼吸などをして蘇生をさせます。産まれたばかりの子犬でも3〜4時間は何も与えなくても大丈夫です。あきらめないで蘇生を心がけて下さい。
産まれたばかりの子犬はまず性別や体重を量り、そして身体的な異常がないか全身をチェックしますが、口腔の上顎が割れている状態が見られた場合には、他の子犬と同様に母乳が飲めないので特別なケアが必要です。
その程度にもよりますが、母乳を飲むことができればしばらく続け、体がしっかりできた後獣医師による縫合術を受けます。
ただし、上顎が割れているということは飲もうとすると鼻腔に入ってしまいうまく飲めないのが普通です。哺乳瓶から飲めない時はカテーテルを使って胃に注入し栄養を与えます。
この方法は気管に入ってしまうと危険ですので、はじめは獣医師の指導を受けた方がいいと思います。
手術を受けるためにはある程度育ってからでなければできいので、重篤な口蓋裂の場合は手術を受けるられるまで育たないこともあります。